ダムの七匹の猫たち 5.救助犬ハナちゃん
(この記事は花はなの里ホームページで2003年11月に書かれた記事を転載しています)
大きくて暗い山!
ザワザワ、ヒュルル・・山を渡り木立を揺さぶる
冷たい北風と、なんとも不気味な低い音。
伐採した木々が折り重なって道をふさぎ私もハナも思うように進めない。
懐中電灯の明かりだけでは周りの様子もさっぱりわからない・・・。
「ハナちゃんの鼻と耳だけがたよりだよ!早くチッチを見つけてね!」
「ワンワン、クンクン・・・」
地面に鼻の頭をくっつけてせわしなく
動き回るハナ。
「ハナにはチッチの声が聞こえるの?
チッチの匂いがするの?」
ハナはシッポの先まで緊張させてどんどん暗い山に登って行きます。
飛び出した小枝に髪をひっかけたり、
グッとつかんだトゲトゲの木に「イタタ・・・」と
悲鳴をあげるドジな私!
そんな私を気づかってか時々ふり向くハナの目は、やさしく強い母親の眼差しでした。
ギャーギャー不気味に夜烏が叫ぶ、ホッホ〜、ホッホ〜と淋しげにふくろうが鳴く・・。チッチの声は・・・聞こえない!
「チッチ、チッチ鳴いてみて、ここにいるよってハナと私に教えて!」
チッチの無事を祈りながら懐中電灯で四方八方照らしてみるが
私に見えるのは切り倒された大木と暗い道だけ!
あわてて履いてきた主人の長靴が歩くたびにブカブカ鳴って、まるで私は山に捨てられたロボットみたい。
と・・・少し先のやぶの中でハナが激しく吠えた。
そしてチッチの
「フ〜!フ〜ギャオーン!」と、威嚇するような元気な鳴き声が聞こえた!
どうやらハナちゃんは、遭難したチッチを発見したらしい!
私は長靴をブカブカ鳴らしながら夢中でハナちゃんのいる場所までかけ登った。
そこで目にした光景に私の背筋が凍りついた!
『まぁ、なんてこと・・・』
なんと、チッチが迷子になったらかわいそうだと思って首に付けたオレンジ色のチェックの首輪と迷子札が木に枝にひっかかってしまいチッチは身動きできなくなっていたらしい!
なんて危険な迷子札!
私は首輪と迷子札をそっとはずして急いでチッチを抱き上げた・・・。
そしてハナの頭をなでながら「ありがとう!ハナちゃん」
ハナの得意そうな顔を見てうれしくて涙が出た!
「チッチごめんね!首輪も迷子札ももうやめようね・・・」
ジャンパーのファスナーを開け、ふところにチッチを抱きながら
ハナと3人で、いいえ一人と2匹で暗い山道を家に向かって降りていった。
続く
見つめるチッチ
子犬にアタック!
サスケのようなチッチ!
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