ダムの七匹の猫たち 7.おめでたですよ!
(この記事は花はなの里ホームページで2004年10月に書かれた記事を転載しています)
早春の山々をベールのように覆った淡いピンクの山桜が散り
透けるような新芽がツンツンと伸びてきました。
我が家に通じる小道にみごとに咲いたソメイヨシノも昨夜の大風で
薄く小さな花びらを吹雪のように散らせました。たくさんの
花びらが踊るようにサヤサヤと小川を流れていきます。
まだ冷たい流れにそっと手を入れると指にまとわりつくピンク色の
花びら・・・『まるでチッチのかわいい耳のよう・・・』
春になってチッチの可愛らしさには更に磨きがかかり
白い手袋と白い靴下でタンポポ道を散歩する様子は
とてもファンタジック!大きな耳と目と長ーいヒゲが賢そう!
なんだけど???
『最近ちょっと太ったみたいだぞ・・・』
一回り大きくなって横から見ると、お腹のあたりがむっちりと
妖精のようなチッチに貫禄さえ感じてしまうのはなぜだろう?
『ははぁーん!もしかして・・・』
山道を車で走って町の獣医さんに
診てもらうことにしました。
もちろん答えは直ぐに出ました。
「おめでたですね!」
チッチのお腹には赤ちゃんができていたのです。
『まぁー!チッチったらぁー、おめでとう!』と喜んでいいものか!
獣医さん「健康な猫ちゃんは始めてのお産でも4・5匹は産みますよ」
私「・・と言う事は一度に猫ちゃんがに5・6匹になるという事で」
獣医さん「そうです。飼えますか?今のうちでしたら手術も可能ですよ」
そ、そんな・・診察台の上で幸せそうに毛づくろいをするチッチを見ていると 手術なんてとんでもない事!せっかくの赤ちゃん産ませてあげたい!
私「里親さがしをしてみます。だから今回は産ませる事にします。」
獣医さん「わかりました。きっとこの子は元気な赤ちゃんを産みますよ。診察台の上で毛づくろいをするなんて度胸がいいよ!」
などとたいそう誉めていただき「親バカならぬ猫バカ」になった私は
これから産まれてくる可愛い子猫達の事を想像しながら
ウキウキ気分で山道をドライブしながら家に帰りました。
「麻里さんうれしそうだね!」
やさしい目をして私を見上げるチッチ!
家に着くと夫と息子が私達の帰りを待っていました。
『パンパカパーン!六月の中頃にチッチはママになりまーす!』
『それはめでたい!』
二人ともチッチの出産に大賛成!
『よかったねチッチ!元気な赤ちゃんを産もうね!』
食欲旺盛なチッチはパクパク食べてみるみるお腹はプーとふくらみ
あっちでコロン、こっちでコロン、そしていよいよ六月になりました。
続く
余裕の毛づくろい
アートな寝姿
スッパイ物が食べたいなぁ
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