ダムの七匹の猫たち 4.危険な迷子札
(この記事は花はなの里ホームページで2003年11月に書かれた記事を転載しています)
それからというものチッチの事が心配でたまらない私・・・
チッチは車が大好き!
時々、家に来たお客様の車にちゃっかり乗り込んで
毛づくろいなんかしてる事もある!
そのまま車に乗っかって連れて行かれたらどうしよう!
お散歩に夢中になって帰り道がわからなくなったらどうしよう!
暗くなって雨が降って寒くなって心細くてかわいそう!
そうだチッチに迷子札をつけよう!
さっそくペットショップに行って
オレンジ色のかわいい迷子札を見つけて来た!
『お名前:チッチ、住所、電話番号、保護者:麻里子』
黒のサインペンで心を込めて一文字一文字しっかり書いた!
これでようし!さっそくチッチの首にチェックの首輪と一緒につけてみた。
動くたびにチラチラと揺れるオレンジ色の迷子札。
チッチは気になる様子で首をすくめたり、前足でひっかいたり少々迷惑そう!
「いやがってるんじゃないのか?」と眉間にしわをよせる主人!
「重いんじゃないの?かわいそうだよ!」と息子。
「そうだけど・・・迷子になったらもっとかわいそう」と私!
その頃我が家に、かわいいニューフェースが誕生していました。
ハナちゃんが生んだ2匹の子犬です。まるでもぐらのような形態で
ママのおっぱいにしがみついている子犬達の事が気になる
様子で、そばによっては「ワンワン」と吠えられるチッチ!
ママのおっぱいが恋しいのかなぁ。まだチッチは赤ちゃんだものね!
それから又、一ヶ月くらいたった頃には、チッチも出会った頃の3倍位の大きさにに成長しとてもシャープなプロポーションの美形猫に育っていました。
性格もいうことなし!満点猫ちゃんです!
そんなある日の夕方、北風が冷たい歳の瀬に、またまた大事件が起きたのです。
西の空が真っ赤に染まり始め、夕食の支度にとりかかろうとした時、
犬のハナちゃんが心配声でしきりに吠えます。
「麻里さん、大変!大変だよ!」と言わんばかりに・・・
私は子犬達に何かあったのかと、急いで様子を見にいきました。
ハナのハウスを覗いてみても子犬達は体を寄せ合ってスヤスヤと眠っているし特に異状はなさそうです。
ハナの頭をなでて安心させると又台所に戻って夕食の支度の続きを始める私。
でも、しばらくすると又、ハナが心配声で吠え続けます。
あたりはもう薄暗く寒い冬の夕暮れ時です。
あれっ!そう言えばさっきまで一緒だったチッチの姿が見えません。
背中を走る不吉な予感!
信じて待つ事一時間!
相変らずハナは激しく吠え続け・・と、冷たい北風にのってチッチの小さな泣き声が聞こえる・・・確かに聞こえる!
北風に消されてしまいそうな小さな声!
「助けて、助けて・・・ママ助けに来て」
チッチが呼んでる、私を呼んでる!
「チッチ、チッチ、聞こえるよ!
どこにいるの?今すぐ助けに行くから安心してチッチ」
私は五感のすべてを集中し耳をすまして声のする方向を探った・・・まさか!
この山の中?とっくに日が沈みあたりはもう真っ暗!
私、泣いてなんかいられない!チッチを助けにいかなくちゃ!
私はハナを連れて懐中電灯を片手に山に向かってかけだした!
続く
コタツ大好き!
みえますか?迷子札
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